***第322回CBI学会研究講演会のお知らせ***

「薬物間相互作用の予測; 欧米の薬物間相互作用(DDI)ガイダンスと将来展望」


開催趣旨:

薬物間相互作用は、時に重篤な副作用の原因となり、場合によっては、単剤では有用な薬であっても、薬物間相互作用薬・被薬物間相互作用薬共に市場からの撤退を余儀なくされるケースが複数見られている。従って、医薬品開発の段階で、上市後に起きうる薬物間相互作用を未然に予測し回避することが製薬会社にとっても患者にとっても急務とされている。一方、薬物間相互作用のパターンは、単なる競合阻害のみならず、mechanism-based inhibitionのような不可逆な阻害や転写誘導によるタンパク発現量の上昇、またこれらが同時に起こるような複雑なケースも知られている。さらに薬物間相互作用の標的も、代謝酵素のみならず、数多くの取り込み・排出トランスポーターが注目を集めつつあり、薬物間相互作用の予測において留意すべきことが多様かつ複雑化しているのが現状である。

現在、米国FDAにおいては、薬物間相互作用に関するガイダンスの改訂作業が進められており、in vitro実験からの評価法や創薬における臨床薬物間相互作用試験の必要性を判定するためのdecision treeの策定が進められている。特に、トランスポーターが関与する薬物間相互作用については、最近、産官学のメンバーからなるInternational Transporter Consortium (ITC)が中心となって、いわゆる“Transporter Whitepaper”の位置づけとなる総説がNat. Rev. Drug. Discov.に掲載され、注目を集めている。一方で、欧州EMEAにおいても、薬物間相互作用ガイダンス改訂版の策定は最終段階に到達しており、例えば、競合阻害の場合、臨床薬物間相互作用試験を推奨する基準は、タンパク非結合型のCmaxの50倍(蛋白結合率が99%を上回る場合、250倍)の値がKi値を上回る時とされており、false-negativeを避ける観点とはいえ、かなり厳しい基準が引かれている。少なくとも現段階において、FDA, EMEAの薬物間相互作用評価法は、基準となる阻害剤の濃度や閾値設定について不一致な点が多く、今後の議論が必要である。

そこで、本企画においては、薬物間相互作用を考える上で、考慮すべき作用点(代謝酵素・トランスポーター)の設定、個々の作用点ごとのサイエンスに根差した評価法の策定や、in vivo薬物動態に与える影響の見積もり、また、臨床での実例に沿った閾値の合理的な設定を考える材料として、薬物間相互作用を研究の中心に据えているエキスパートの先生方を産学両方よりお呼びし、薬物動態を考える上で特に重要な、消化管吸収、肝臓・腎臓における異物解毒、また中枢毒性などの決定要因となる脳移行性における薬物間相互作用にそれぞれ着目したご講演を賜る。さらに、活発な意見交換を通して、日本における科学的に根拠のある薬物間相互作用の評価法の基盤を提案することを目的とした。


日時 2011年12月5日(月)12:45-17:30
場所 東京大学薬学部講堂(薬学系総合研究棟2階)
(東京都文京区本郷7-3-1)
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kyoumuk/Kodo-access.pdf
世話人 杉山雄一(東京大学大学院薬学系研究科)、前田和哉(東京大学大学院薬学系研究科)

プログラム

1.12:45-12:55
はじめに 杉山雄一(東京大学大学院薬学系研究科)

2.12:55-13:40
「欧米の薬物間相互作用(DDI)ガイダンスの現状と将来展望」
杉山雄一(東京大学大学院薬学系研究科)

3.13:40-14:05
「代謝酵素の関わる薬物間相互作用の予測」
伊藤清美(武蔵野大学薬学部)

4. 14:05-14:30
「消化管CYP3A4,P-gpの関わる薬物間相互作用の予測」
加藤基浩(中外製薬株式会社)

5. 14:30-14:55
「薬物間相互作用予測におけるPISCSの活用」
樋坂章博(東京大学医学部附属病院 薬理動態学)

休憩 14:55-15:15

6. 15:15-15:40
「薬物吸収過程における薬物間相互作用(取り込みトランスポーター)」
玉井郁巳(金沢大学医薬保健研究域薬学系)

7.15:40-16:05
「肝臓のトランスポーターの関わる薬物間相互作用の予測」
前田和哉(東京大学大学院薬学系研究科)

8.16:05-16:30
「探索段階における薬物間相互作用クライテリアはどう設定するのか? -CYPとP-gp阻害を中心に-」
森脇俊哉(武田薬品工業株式会社)

9.16:30-17:30
総合討論


講演会参加費
  (非営利) (一般企業)
 法人賛助会員  無料
 個人会員 無料 \5,000
 ビジター \1,000 \10,000
参加申込み先
◆参加ご希望の方は事前に必ずメールにてお申込みください。

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