開催趣旨:現在、薬物動態を支配する要因として数多くの代謝酵素やトランスポーターの発現・機能解析がなされ、薬物相互作用や遺伝子多型と絡める形で数多くの臨床研究がなされた結果、個々の分子がヒトin vivoにおける医薬品の体内動態にどの程度インパクトを持っているかについて情報が集積されつつある。さらには、これら個々の分子の機能を臓器レベル、そして生体レベルへと統合・再構築した生理学的薬物速度論(PBPK)モデルによる薬物動態予測に関する研究も急速な進展を見せている。一方、薬物動態の個人差の要因として、これまでは主にpharmacogenetics, pharmacogenomicsを中心とする遺伝学的要因に目が向いてきたが、特に臨床医療においてはspecial populationと呼ばれるサブグループ(例えば、人種、特定の疾患の患者、小児、高齢者など)ごとに薬物動態がある程度一定の傾向をもって異なる場合があり、ひいては薬効・副作用の変動にもつながっているケースがある。ただ、倫理的側面などから系統的な臨床研究が進めにくく、なかなか統一的な考え方が定まらないのが現状である。
そこで本講演会では、special populationにおける薬物動態について、今、分かっていること、分かっていないことを整理すると共に、臨床試験の代替策としてPBPKモデルを用いたシミュレーション結果の活用による予測が、どの程度有効に使えるのかについて議論を深めたいと考えている。
日時: 2014年12月12日(金)13:15-18:10 場所: 東京大学山上会館2階 大会議室(東京都文京区本郷7-3-1) 世話人: 杉山雄一(理化学研究所イノベーション推進センター杉山特別研究室)、前田和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
プログラム
- 13:15 - 13:50
「Special populationにおける薬物動態予測の現状(総論)」
前田和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
- 13:50 - 14:20
「人種差の機序を理解するための速度論;スタチンを例にして」
富田純子(大日本住友製薬株式会社)
- 14:20 - 15:00
「薬物動態・薬効・副作用の個人間変動を定量的に理解する」
杉山雄一(理化学研究所イノベーション推進センター杉山特別研究室)
- 15:00-15:30
「薬物動態の人種差の予測」
井上晋一(第一三共株式会社)
- 15:30-16:00
「小児における薬物動態の予測」
鈴木美咲(ファイザー株式会社)
<16:00 - 16:20 休憩>
- 16:20 - 16:50
「肝疾患時の薬物動態の予測」
峯松 剛(アステラス製薬株式会社)
- 16:50 - 17:25
「腎疾患時における薬物動態の予測」
加藤将夫(金沢大学)
- 17:25 - 18:00
「小児における投与」
永井尚美(医薬品医療機器総合機構)
- 18:00 - 18:10 総合討論
講演会参加費参加申込み
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