会長挨拶


片倉 晋一

第一三共RDノバーレ株式会社

   この度、田中博前会長の後任としてCBI学会会長を拝命いたしました片倉晋一でございます。会長就任にあたり、ご挨拶させていただきたいと思います。

   私は2011年よりCBI学会創薬研究会の主査としてCBI学会活動、特に研究講演会の企画に関わらせていただきました。CBI学会では製薬企業、IT企業からなる法人会員の幹事の方が集まり各回の研究講演会のトピックについて情報交換・議論をしながら決めています。近年の研究講演会は毎回非常に盛況で、参加者が定員を超える講演会も少なくありません。このことは企画側の興味や問題提起が多くの創薬研究に携わる研究者の方々の共感を得ている証であり、最先端の情報をタイミングよく提供する貴重な研究会であることを示しています。この活動を通して私自身、CBI学会の意義、そして素晴らしさを改めて理解できたと思っています。

   CBI学会はケモインフォマティクス、バイオインフォマティクスからスタートし、現在は計算化学を基盤として幅広く様々な学問領域を取り扱うようになっており、特に創薬の点からin silico創薬に焦点をあてています。製薬企業、IT企業から参加する幹事が企画し、アカデミアの先生方をお招きし最新の情報を講演いただき、意見交換、ネットワークを広げる、研究講演会に代表されるこのような活動はCBI学会のアクティビティを象徴するものです。一方、年次大会はアカデミアの先生方が中心となって企画を行っており、萌芽的な研究をサポートするよう非常に多くのフォーカストセッションを開催しています。年次大会も年々、参加者が増え、大規模な大会となってきました。年次大会には製薬企業、IT企業の参加者が多く、年次大会もアカデミアと企業との接点として毎年様々なテーマに関して議論する場を提供しています。

   近年の創薬研究では様々な最新技術、最新研究を取り入れた総合科学的な取り組みが必須であり、製薬企業だけで賄いきれるわけでなく、オープンイノベーションなしでは成り立たなくなっています。そのような多種多様な研究から生み出されるデータは増え続ける一方であり、CBI学会の基盤であるケモインフォマティクス、バイオインフォマティクスの重要性は言うまでもありません。また、昨今のAIブームに対する大きな期待も必然であるといえます。このような状況下、CBI学会が研究者の皆様にとって益々価値ある学会になるものと確信しております。

   日々うまれる新しい技術に関わる研究現場の研究者と新たな解析手法を考えその応用を模索する研究者との接点の場を提供する学会、CBI学会がそのような学会であり続けるよう、皆様のご協力のもと、微力ではありますが努力していきたいと思います。

   まだまだ不慣れなこともあり、ご不便をお掛けすることが多々あるかと思いますが、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

平成29年4月 吉日

情報計算化学生物学会(CBI学会)