1981年以来、CBIは研究会という名称の下で化学と生物関連科学への情報技術や計算技法に関する産官学の学術情報の交流を積極的に進めてきた。この会は、C(とくにComputational Chemistry)、B(生物医学、薬学、毒性学、農学、環境科学など)、I(InformaticsとくにBioinformatics)という分野を異にする産官学の専門家が出会い、互いの研究に興味をもつような機会となることをめざしてきた。その実績を踏まえ、本年4月より「学会」に名称変更するとともに、この分野の発展に寄与することをめざして一層活発に活動しているが、このたび、はじめて公開の研究発表会を開催することになった。「CBIミレニアムシンポジウム」と題し、「21世紀への助走(Start up to the 21st Century)」を標語とする本年のこの大会は、21世紀のCBI学会の新しい実験の場である。すなわち、この大会は、ある研究領域の新しい研究成果を漫然と発表する機会ではなく、CBIが学会として挙げている目標がどれだけ達成されてきたかを明らかにするような"Target Driven"な研究発表会となることをめざしている。その目標とは、日本の医薬品研究開発や化学物質の安全性研究における情報技術や計算手法の進歩であり、レベルアップである。
新しい試みの一つとして、この発表会では「役に立つか?あるいは役に立っているか?」という評価基準を論文採択において考慮する。それにより、これまで学会発表の機会に恵まれなかった、優れた実用的なシステム開発(プログラムやシステムなど)の仕事も積極的に発表してもらおうとしている。さらに将来は、この会で発表された優れた研究構想、研究成果はさまざまなグラントの応募にCBI学会として推薦するようなことも試みるつもりである。それゆえ研究成果の発表だけでなく、研究構想についての発表も歓迎する。また産学官の研究者の出会いの場となることをめざしているため、ベンチャー企業、ベンチャー支援エンジェルなどを含む幅広い関係者の参加を歓迎する。研究助成の担当者やグラントのレビュアーの参加も願うものである。
情報計算化学生物学会(CBI学会)会長
平山 令明(東海大学 開発工学部)
情報計算化学生物学会(CBI学会)2000年大会 実行委員会
神沼 二眞(国立医薬品食品衛生研究所 化学物質情報部)