大会の魅力
今年の大会、ここが魅力!
本年の大会は、昨年のミレニアムシンポジウムに引き続いて企画されたものであるが、さらに入念に準備され、内容も一層充実したものになっている。以下はそのハイライトである。なお、詳しい情報は大会のプログラムのページを参照されたい。
大会前日の若手の会
現在、CBI学会は若手の研究者の育成に関心をもっている。CBIは我が国の産官学の研究基盤の向上に寄与することをめざしているが、計算化学、ゲノムコンピューティング、バイオインフォマティクスなどCBIの関心領域では、まだ教育機会や研究指導者が少ない。また、ポストドクのような任期つきの職は増えているものの、その後研究職をつづける道は狭くなっているため、30代で失業せざるをえないケースが今後、急速に増えてくることが予想される。この会はこうした問題意識をもって、大学生や若手研究者の心得、ベンチャー起業の現実、企業の求める研究者像などについて、率直な話あいのできる出会いの機会として本年、特別に企画されたものである。学生が参加しやすいように、この会への参加は無料であり、飲み物を片手にした懇親会も予定されている。ベンチャー企業の関係者、女子学生、企業の人事担当者の参加も歓迎する。
時間と空間のゆとり
昨年は、会場の関係で、ポスター発表や技術展、書籍の販売などなどが、狭く、時間的にも制約されたものになってしまったが、本年は、主たる講演のための会場も、展示のスペースに余裕をもたせている。また、展示時間が昨年は1日だけであったが、今年は2日間となっている。すなわち、ポスター、技術展、書籍販売は、大会初日(25日)の午前中に搬入され、最後にあたる3日め(27日)の午後撤去されることになっており、丸2日間は閲覧できるようになっている。
招待講演
大会の中心となるのは、海外および国内から招聘した研究者による講演である。本年は最初の2日間は、500名ほど収容可能なホールで行い、最後の日は、250名ほどの会場で行われる。主要なテーマは、医薬品の標的探索や医薬品デザインの基礎となる分子計算や分子認識の進歩、ゲノム解読やSNPs解析、タンパク質解析の進歩、パーソナライズド・メディシンなどである。講演は、最新の研究成果だけでなく、こうした分野の研究戦略、企業による最新の技術動向などが予定されている。
イブニングセッション
長引く経済の不況や失業の増大で、政府は経済活性策の一部として、IT,ゲノム(バイオ)、ナノテクなどの振興を打ち出している。これらは、CBIの主要テーマでもある。こうした分野への投資とともに、これからの経済活性の担い手として期待されているのが、ベンチャー起業である。そこでこの大会では、とくにバイオベンチャーに焦点をあて、内外の専門家を招いて、ベンチャーキャピタル、大学、地域活性など、さまざまな視点からこの問題を討議することとした。なお、この企画にはベンチャー学会とくにバイオ部会の協力をえている。
ポスター発表
この大会のテーマは、「我が国の医薬品の研究開発を支援する情報計算基盤を産官学の協力で構築していくこと」であるが、このテーマに関係した研究成果を一般から募り、ポスターの形で発表してもらうこととした。我が国には、化学、計算化学、分子生物学、生化学、バイフォインフォマティクス、構造生物学、薬学、薬理学、毒性学などに関する学会はあるが、そうした研究者が、上記のような目的意識をもって出会い、討議する場はない。とくに実験系の研究者にとって、「CBIは理論的な話が多くて、敷居が高い」、という印象を与えているようであるが、実際には、CBIのすべてのテーマに通じている研究者はおらず、誰もが専門家あると同時に、誰もが素人であり部外者でもあるので、気軽に投稿し、議論に参加され、新しい研究協力者を発見していただくことを期待している。
企業による最新技術の展示
CBIの関心領域では、新しい技術が生まれ、新しい企業が誕生している。本大会では、そうした企業の協力をえて、展示と口頭発表をお願いした。
最新の文献が揃った書籍販売
昨年に引き続き、バイオラボの協力をえて、CBIの関心領域の参考文献、最新の文献を集めて即売コーナーが、ホールの外の回廊に設置される。CBIでは、ホームページに関心領域に関する参考文献をリストアップしているが、あらかじめ連絡していただければ、特定の本あるいは、分野やテーマに関係した本をバイオラボに取り寄せていただくように連絡しておく予定である。
CBIのグランドチャレンジの進歩
本大会のテーマである、「我が国の医薬品の研究開発を支援する情報計算基盤を産官学の協力で構築していくこと」を実行していく強力なエンジンがCBIのグランドチャレンジ計画である。この計画は昨年のこの大会でも、構想として簡単に紹介されたが、その後の進歩、実際のシステムの現状が最後の講演およびポスター発表で紹介される。
懇親会
CBI学会の集まりは、いままで知らなかった人と出会えるように配慮されている。誰も知り合いがいない場合は、実行委員や事務局担当者に声を掛けていただければ、話されたい方を紹介することにしている。かって、あるコンピュータ関係の会合に出席したアメリカの研究者は、皆が壁にはりついて懇親会の始まりを待っている様子をみて、This is not party! This is funeral!と叫んだ。CBIは、懇親会などが常に楽しい語らいの場であるように配慮している。CBIは学閥、学会閥、産官学の区別など、一切の閥から自由である。CBIの仲間を結びつけるのは、権威ではなく、知的好奇心と行動であり、それが魅力になっている。この懇親会もこうした伝統を受けついだ、楽しいものになるであろう。その主役は参加者である。