CBI NEWS (2004年第1号 (抜粋) 2004年3月19日発行) |
出会いの機会を創造する:HPの刷新
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学会の当面の課題
である。このうち最初の3つの事業はすでに軌道にいる。次の人材養成に関しては、まずCBI学会の関心領域をインターネット上で独習していけるサイトを精選したリンク集をCBI Digital T&L Materialsとして試作してHPにおいてみている。より本格的な人材養成をどう進めるかは、本年度もう少し具体的に取り組む予定でいる。研究開発はこれまで掲げてきたGrand Challenge構想の具体的な推進をめざして2つの研究会を立ち上げる準備をしている。 その第1は、Computer-aid drug discoveryの核心とも言うべき薬物受容体とリガンドとの結合の精密な解析を可能ならしめる大規模分子計算技法の応用を目的とした「計算化学研究会(仮称)」であり、第2は、Pathway/Networkを基盤とした疾病の理解や医薬品開発、医薬品の適正使用の研究をめざす「疾病経路網研究会(仮称)」である。これらの研究会は、3月19日と4月27日の研究講演会に合わせてそれぞれ開催される打ち合わせ会をもって活動を開始する予定でいる。詳しいことは添付の企画案を参照されたい。 学会のもう一つのMissionは情報交換である。その中には上記のような活動を推進していくための案内も含まれているが、それ以外として会員に役立つような情報の提供や会員間のコミュニケーションがある。伝統的な学会では、定期刊行物としての学会誌がこうした媒体として使われているが、こうした労力と費用の掛かる定期印刷物を刊行できないCBI学会では、ウエブサイトと電子メールを利用するのが現実的な解決策であろう。しかし実際にはこれとても相当の人手と費用が掛かるため、事務局としてもこれまではなかなか本格的に取り組むことができなかった。それでも今回多少新しい方向への努力を始めることができるようになったので、以下これについて紹介する。 HP刷新の基本概念 Top Page Carrier Up支援サイト(仮称) BioPharmaMed IT Drug Discovery Site 会員へのお願い Drug Discoveryに関する最新情報 広告あるいは情報掲載依頼 制作担当者 |
Grand Challengeへの再挑戦
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Grand Challengeを掲げたのは2000年である。その構想の概要はHPで公開されているが、大規模分子計算を除くとなかなか参加者が名乗り出てくれていないというのが実情である。この間にこの構想に関連した研究の進展も著しくなってきている。そこでCBI学会としては、とくに重要であり、すでにある程度の参加者が見込める実行可能な2つの課題に絞って、研究会の形で具体的な活動を開始することとした。以下は、それぞれの研究会の企画案である。関心のある方は、事務局cbistaff@cbi.or.jpあるいはそれぞれの研究会の世話人に連絡されたい。 計算化学研究会(案)
言うまでもなく計算化学は、Bioinformatics と並んで
CBI学会の基盤となる学問であり、研究講演会、年次大会、Journalにおいてもこのテーマは中心的なものとなっている。とくに「創薬」をテーマにする2004年の年次大会では、当然、創薬に関連した計算化学の話題が例年より多く寄せられると期待されている。
こうした研究交流とは別にCBI学会では、 Grand
Challenge
と呼ぶ研究開発事業としてタンパク質の計算を視野に入れた大規模計算の実現を支援してきた。具体的に応援してきたのは、北浦和夫博士によって理論的な基礎が確立され、同博士のチームと中野達也博士の協力でプログラム開発が進められてきた
Fragment MO (FMO) 法である。CBI学会において、こうした活動を先導、仲介、支援したのは
CBI学会の上林正巳理事 (産業技術総合研究所)
である。幸い FMO
は多くの研究者の関心を集め、方法論とプログラム開発の輪は大きく広がり、今ではこの研究開発活動の多くはCBI学会とは無関係に展開されている。
こうした実用的な大規模計算の開発の状況の下で、CBI学会事務局(神沼)は、多田会長と相談しながら、CBI学会として計算化学に如何に取り組むべきかを模索してきた。例えば、CBIの25周年を記念した教育講座として「計算化学」を取り上げることも検討し、研究講演会(第236回)でもこの話題を取り上げ、法人会員である製薬企業へのアンケートも試みた。この結果、製薬企業の計算化学への期待や取り組みにはかなりバラツキがあること、研究者が計算化学を使いこなすような教育講座に参加させる余裕のあるところは少ないこと、Virtual
Screening の有効性は認めるものの Medicinal Chemist
を脱帽させるようなリードのイメージをつくる技術としては物足らなさを感じていること、などの事実が見えてきた。また、製薬企業は多くのパッケージソフトを購入していること、クラスター計算機など大規模計算環境を整備している製薬企業研究所も少なくないことも見えてきた。
そこでCBI学会として啓蒙や研究情報提供以上の研究開発事業の領域にあえて踏み込むとすれば、「創薬で実績のあるMedicinal
Chemistも瞠目する、あるいは脱帽するようなIn Silico
Lead Generation Toolの開発」ではないかと考えるに到った。そのためには計算理論あるいは手法の研究者と創薬現場にいる研究者との濃密な話会いと協力が不可欠である。そうした協力の出発点となる具体的な手法としてもっとも現実的なのはFMO 法の実践活動であると思われるが、それだけにこだわらず、Medicinal Chemist の経験、勘、智慧、創造力を組み入れた新たな手法の開発が必要になるであろうと思われる。これを実践するためには、何か「研究会」のような組織を設けるのがよいであろう。
疾病経路網研究会(案) はじめに 研究会の目的 成果の扱い
他の学会などへの働きかけ 世話人あるいは幹事 連絡先
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