北浦和夫
大阪府立大学総合科学部
講演要旨
私たちが提案したペア近似MO法は、多数の分子を含む分子クラスターや巨大分子の電子構造計算法として大変有望な方法である。本講演では、分子間相互作用に対するペア近似MO法の摂動論による基礎づけを説明し、本方法がペア近似でありながら多体相互作用を含んでいることを示す。また、分子クラスターの構造とエネルギーの計算結果を通常のab initio MO法の結果と比較することにより、私たちの方法が十分満足できる精度を持っていることを示す。 次に、ペア近似MO法による分子性結晶の結晶構造計算について述べる。ペアポテンシャルのを用いると、結晶構造は、計算量が非常に少なくてすむ格子エネルギー最適化法で計算することができる。これにより、ベンゼンを始め水素結合性結晶などいくつかの結晶の構造計算を行った結果と結晶中における分子間相互作用の詳細について述べる。
講師プロファイル
昭和46年 大阪市立大学 理学部化学科卒業
昭和51年 大阪市立大学 大学院理学研究科 博士課程修了
その後、分子科学研究所助手、大阪市立大学理学部助手を経て
平成 元年 分子科学研究所 電子計算機センター助教授
平成 5年 大阪府立大学総合科学部教授
専門
分子間相互作用の理論
分子間ポテンシャル関数の研究