開催趣旨:今日、薬物動態学の理論はin vitroからin vivoまで非常に良く整えられており、特に新薬開発のスクリーニングに昇華されて実用に供され、大きな成果を挙げている点において、薬学分野で基礎研究が実用に確かに貢献した好事例と言えるであろう。一方で、これまでの薬物動態の研究成果は、クリアランスの予測、特に平均値としての肝クリアランスの評価にやや偏っており、そこを少し離れると実は理論的な整理さえも不十分な点が少なくない。例えば、小腸での吸収と代謝については、代謝、輸送の活性、あるいは溶解度、膜透過性と言った要因が重要であることは知られているが、これらを統合して定量的に予測する方法はまだ完全ではない。また、薬物間相互作用は要因が複雑な上に多くの薬物に適合させる必要があり、より系統的な整理が必要な領域である。新薬スクリーニングで日常的に評価されている肝代謝クリアランスについても、実は個人差の程度と原因、病態や日周期による変化等、まだ情報に矛盾が多いのが実態なのである。加えて、モデリングとシミュレーションによる臨床試験の成功確率の向上の重要性が強調されて久しいが、そのための技術と情報の蓄積は、特に我が国では全く不十分と言えよう。今後の薬物動態の研究は、ますます臨床を指向し、個別化医療を考慮した個人差の予測、あるいは薬効・安全性の予測を含めた定量薬理学あるいはシステム薬理学との統合へ進展すると考えられるが、その過程ではこのような未到達の課題を確実に解決していく必要があろう。本研究会は、現在の薬物動態の解析研究において、このように重要でありながらまだ完全には解決されていない課題にスポットをあてて、理論と技術に関する研究の最新の進歩について発表いただく機会とした。
日時: 2011年1月20日(木)13:00-17:30 場所: 東京大学薬学部講堂(薬学系総合研究棟2階)
(東京都文京区本郷7-3-1)
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kyoumuk/Kodo-access.pdf世話人: 杉山雄一(東京大学大学院 薬学研究科)、樋坂章博(東京大学医学部附属病院 薬理動態学)
プログラム
1.13:00-13:10
はじめに
杉山雄一(東京大学大学院 薬学系研究科)2.13:10-13:45
「消化管吸収の予測:非線形動態(P-gp, CYP3A4)の予測とモデリング」
杉山雄一(東京大学大学院 薬学系研究科)3.13:45-14:20
「薬物代謝酵素CYPの発現量の個人間変動モデリング」
樋坂章博(東京大学医学部附属病院 薬理動態学)4.14:20-14:55
「薬物間相互作用を定量的に予測するための考え方:数理モデルを通した理解」
前田和哉(東京大学大学院 薬学系研究科)休憩 14:55-15:15
5. 15:15-15:50
「薬物の脳移行の予測モデル;薬物のCSF中濃度は脳内フリー濃度の良いサロゲートになるのか?」
楠原洋之 (東京大学大学院 薬学系研究科)6.15:50-16:25
「前臨床から臨床へのトランスレーションにおけるモデリング&シミュレーションの活用」
奥平典子(第一三共株式会社)7.16:25-17:00
「臨床における薬効・安全性の個人差のモデリング」
鈴木昭之(ファイザー クリニカル・ファーマコロジー部)8.17:00-17:10
まとめ
樋坂章博(東京大学医学部附属病院 薬理動態学)
講演会参加費参加申込み先
(非営利) (一般企業) 法人賛助会員 無料 個人会員 無料 \5,000 ビジター \1,000 \10,000 ◆参加ご希望の方は事前に必ずメールにてお申込みください。CBI学会事務局:
〒158-0097東京都世田谷区用賀4-3-16イイダビル301
TEL:03-5491-5423 FAX:03-5491-5462
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