***第321回CBI学会研究講演会のお知らせ***

「蛋白質のかたちと創薬 - 3次元分子模型とVR技術を通じた分子設計に向けて」

Protein Shape and Drug Design : Shaping out drug molecules through touching proteins with their 3D models and VR technology


開催趣旨:

創薬標的分子の「形」に着目し、その情報を薬物分子設計に活かすための最新技術の紹介を行うことが、本研究講演会の趣旨である。

「鍵と鍵穴」に喩えられるように、薬物分子は、創薬標的分子に結合してその効力を発揮するため、標的分子との相補性を利用する。相補性を担保するために必要不可欠な要素は、「形」の相補性である。実際、「形」の相補性は、蛋白質の構造を利用した薬物分子設計(SBDD)では、DOCKをはじめ各種のドッキング・ソフトウェアで当然のように利用されている。また一方、低分子情報のみからの薬物分子設計(LBDD)においても、例えば ROCSのように低分子同士の形の類似性だけを評価しても仮想スクリーニングで有効であったり、ファーマコフォア型のソフトであるCATALYSTでもShape拘束がヒット率向上に有効であったりと、薬物分子設計における「形」の重要性をうかがい知ることができる。

 しかし、実際の薬物分子を「設計する」現場において、どれだけ「形」の情報を有効に活用できているであろうか。実際のところ、「形」のあてはまりの良さは、ドッキング・ソフトウェアなどでスコアや相互作用エネルギーの値を計算させることによって、あるいは無理な力がかかっている箇所を色づけ表示させることによって知ることができる。しかし、設計者はそれらの値を目で見て、分子のあてはまりの良さを「想像」するにすぎない。また、分子設計のため、蛋白質中の空隙を新たな相互作用サイト候補として表示させることも可能である。しかし、新たに設計した分子のあてはまり具合をみるには、再度計算をさせ、相互作用エネルギーなりの数値を見て、再度「想像」することになる。

 古来、人間は「形」の相補性を確かめる場合に、「目で見る」以外に「手で触る」ことでも判断してきた。低分子の場合でも、コンピュータの画面で見るだけでなく、実際に分子模型を組み立て、触ってみてわかることも数多い。一方、蛋白質などの生体高分子の場合は、その構成原子数の多さから、その模型を作ることは、あまり現実的ではなかった。

 しかし近年、3Dプリンターの発達により、生体高分子・蛋白質の3次元構造模型を、比較的手軽に手にとることができるようになってきている。また、仮想現実 (Virtual Reality, VR) の技術も発達し低価格化してきているため、コンピュータ画面上の物体に「触る」ことも可能になってきた。創薬標的となる蛋白質に触ること、そしてそこから薬物分子を設計し、更には設計した新たな薬物分子の当てはまり具合を「手で確かめる」こと、そういったことが可能な時代が来ている。

 そこで、本研究講演会では、「形」に着目した薬物分子設計の例を通じて 蛋白質の「形」に着目することの重要性を再確認するとともに、VR技術のひとつであるハプティクスを利用した薬物分子設計の可能性をご紹介したいと考えている。ハプティクスを用いた分子設計へ向けての講演の他、実際に、蛋白質の3次元構造模型や、ハプティクスに実際に触っていただけるよう、企業からの展示もお願いしている。薬物分子設計においてはまだ萌芽期にあるこれらの技術について、現在、どの程度のところまで来ているのか、これから何が可能になるのか、を実感していただきたい。薬物分子設計の現場の方、薬物分子設計技術を開発しようとされている方、また、ソフトウェア・ベンダーの方など、幅広い方々の参加を期待している。


  
日時 2011年11月21日(月)13:00-19:00
場所 お茶の水女子大学・理学部3号館会議室
(東京都文京区大塚 2-1-1)
http://www.ocha.ac.jp/access/
世話人 小田晃司(大正製薬株式会社)
後援 お茶の水女子大学 シミュレーション科学教育研究センター

プログラム

1.13:00-13:10
「はじめに」 Introduction
小田晃司(大正製薬株式会社)

2.13:10-13:55
「不成功例の無い、三次元形状を重視する分子設計法」
松崎尹雄(分子設計アドバイザー)

3.13:55-14:40
「分子設計におけるバーチャルリアリティーの利用」
水島洋(国立保健医療科学院)

休憩 14:40-14:55

4. 14:55-15:55
"Modelling global protein conformational response to interactions controlled through haptic feedback: Towards an interactive docking tool for drug design"
Steven Hayward(University of East Anglia)

5. 15:55-16:40
"Navigating and exploring biomolecules with a haptic device"
Stephen Laycock(University of East Anglia)

休憩 16:40-16:50

6. 16:50-17:20
「ハプティクスを用いてタンパク質を触ることからわかること」
由良敬(お茶の水女子大学・シミュレーション科学教育研究センター、 生命情報学教育研究センター)

7.17:20-17:50
"Real-time Collision Detection Engine"
Igor Goncharenko(株式会社アイネット)

8.17:50-18:40
希望者による、蛋白質3次元構造モデル および ハプティクスの、Hands-onの時間

※ 企業展示 および Hands-on 協力企業
分子模型:
  株式会社フィアラックス  http://www.fiatlux.co.jp/
  3S(スリーエス)  http://3esu.com/ / オートファクト
ハプティクス・デバイス:
  株式会社アイネット  http://www.ddd.co.jp/


講演会参加費
  (非営利) (一般企業)
 法人賛助会員  無料
 個人会員 無料 \5,000
 ビジター \1,000 \10,000
参加申込み先
◆参加ご希望の方は事前に必ずメールにてお申込みください。

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