開催趣旨:心循環系あるいは中枢機能などに副作用を及ぼす多くの薬物がイオンチャネルをターゲットとしている。このメカニズムとしては、薬物がイオンチャネルに結合し、チャネル機能を抑制あるいは亢進することによって引き起こされると一般的に考えられている。しかし、実際にはこのようなメカニズムでは説明できない場合も多くあることがわかってきた。イオンチャネルは小胞体でタンパク質に翻訳された後、ゴルジ体を経て細胞膜に運ばれる。細胞膜では脂質ラフト/カベオラと呼ばれる特異な領域に配置され、他のタンパクとともに複合体を形成し機能を発揮することが種々のイオンチャネルで明らかとなった。更に、これらのチャネルはユビキチンープロテオソームシステムなどにより分解を受け、合成と分解のバランスの上に立って恒常性が保たれている。イオンチャネルの膜への輸送を抑制する、あるいは分解を亢進することにより細胞膜上の機能的なチャネル密度を減少させる薬物や、コレステロール低下剤のように脂質ラフト/カベオラの形成、膜の性質に影響を与え薬物などが間接的にイオン電流を変化させることが示されている。また脂質が直接あるいは間接的にイオンチャネルの制御に関与することも報告されている。今回の研究講演会は脂質ラフト/カベオラにおけるイオンチャネル制御の基礎的な話、また薬物によるイオンチャネル制御の新たなメカニズムに関する話、更にエンドソームなど細胞内小胞でのパッチクランプ解析に関する話をしていただくことにより、創薬における副作用回避あるいは新たな創薬の切り口を考える機会となることを目的として企画した。
日時: 2012年7月2日(月)13:20-17:50 場所: 東京大学 山上会館大会議室
東京都文京区本郷 7-3-1世話人: 澤田光平(エーザイ株式会社)、森泰生(京都大学)
プログラム
1.13:20-13:30
2.13:30-14:25
はじめに
「ラフト/カベオラにおけるチャネル制御」
古川哲史(東京医科歯科大学)
参考文献:3.14:25-15:20
Acute Effects of Sex Steroid Hormones on Susceptibility to Cardiac Arrhythmias: A Simulation Study
Pei-Chi Yang1, Junko Kurokawa2, Tetsushi Furukawa2, Colleen E. Clancy1*
1 Department of Pharmacology, University of California, Davis, Davis, California, United States of America,
2 Department of Bio-informational Pharmacology, Medical Research Institute, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan
「薬物・生理活性物質によるイオンチャネル制御とその意義」
古谷和春(大阪大学) 15:20-15:40 休憩 4.15:40-16:35
「Endosomeでのパッチクランプ解析」
齊藤光義(株式会社 Ion Chat Research) 5.16:35-17:30
「イオンチャネルに関する新たな副作用メカニズム」
谷口智彦(エーザイ株式会社) 6.17:30-17:50
まとめ
講演会参加費参加申込み
(種別) (料金) 法人賛助会員 無料 一般 個人会員 無料 非会員(一般) \10,000 学生 学生会員 無料 非会員(学生) \1,000 満席のため申し込みは締め切りましたお問い合わせ
◆情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局
TEL:045-924-5654 FAX:045-924-5684