開催趣旨:
Cluster Newton法(CNM)は、東京工業大学小長谷研究室と国立情報学研究所速水研究室において共同で考案された,劣決定逆問題における複数の解候補を求める新たなアプローチである[1]。パラメータ推定に繁用されてきたGauss-Newton法やLevenberg-Marquardt法では、特に未知パラメータが複数の場合、解の初期値の設定によって最終的に得られる近似解が大きく変動したり、初期値の設定によってはしばしば発散し、解候補が得られないこと、また計算速度が遅いことが問題であった。一方、CNMは、初期値を範囲で広く設定することができ、最終的に得られる解も、候補解セットの集合として得ることができるため、初期値依存性が解消される利点を有する。また、計算コストが従来法と比較して極めて低減されている。全身の薬物動態の予測に用いられる生理学的薬物速度論(PBPK)モデルは、極めてモデルパラメータ数が多く、in vitro実験や動物実験からでは決定が困難なパラメータも多いことから、複数の未知パラメータを置かざるを得ない。そういった状況下でCNMはPBPKモデルにおける強力なパラメータ推定ツールとなり得る。本講演会では、CNMの原理とその応用の一つとしてのPBPKモデルに基づく薬物動態解析の実例を複数取り上げ、本方法論のさらなる可能性を探ることを目的とする。 [1] Aoki, Y.; et al., SIAM J. Scientific Computing 2014, 36 (1), B14-B44.
日時: 2018年6月7日(木)10:30‐17:30 場所: 東京大学農学部 弥生講堂一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1)
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/map.html世話人: 杉山 雄一(理化学研究所杉山特別研究室)、前田 和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
プログラム
- 10:30~10:40
「はじめに」
杉山 雄一(理化学研究所杉山特別研究室)
- 10:40~11:25
「薬物動態解析におけるモデルの有用性;とくにin vitro から in vivo への予測」
杉山 雄一(理化学研究所杉山特別研究室)- 11:25~12:10
「クラスターニュートン法(CNM)の紹介と最近の改良について」
青木 康憲(Uppsala大学, Sweden)
<12:10~13:10 昼食休憩>- 13:10~13:55
「多数のパラメーターを安定に求めるモデル解析の方法と応用」
樋坂 章博(千葉大学大学院薬学研究院)
- 13:55~14:40
「クラスターニュートンメソッド(CNM)による個体差要因解析を目指して:
-イリノテカン全身生理学的薬物動態(WB-PBPK)モデルへのCNM適用の経験から-」
小長谷 明彦(東京工業大学情報理工学院)
- 14:40~15:25
「CNMにより実現した、親化合物・代謝物の血中濃度推移の同時あてはめによる代謝酵素基質・阻害薬の特性値の抽出」
前田 和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
<15:25~15:45 休憩>- 15:45~16:30
「クラスターニュートン法の仮想臨床試験(Virtual Clinical Study)への応用」
年本 広太(理化学研究所)
- 16:30~17:30
総合討論
- 18:00‐20:00
懇親会 (場所:東京大学弥生講堂一条ホールロビー 参加費:\3,000)
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