開催趣旨:
薬物動態研究は、基本的なコンセプト・考え方については一定の成熟期を迎えており、既に創薬過程においても数多くのin vitro実験系や解析手法がある程度ルーチンワーク化しているのが現状である。しかしながら、in vitro試験の結果に基づくin vivo薬物動態の予測精度の向上は一定の水準を超えられていないのも事実であり、これまでの研究において考慮されてこなかった新たな要因を追究する必要性に直面している。
本講演会では、薬物動態の予測研究において考慮すべきemerging topicsを産学の研究者間で共有し、今後の予測研究の更なる発展について議論するためのprimerとして、様々なテーマを用意した。
主なところでは、従来、高分子薬物(バイオ医薬品)にしか適用されてこなかったTMDD (target-mediated drug disposition)の考え方を低分子薬物にも導入することで非線形性など複雑な体内動態を説明する考え方や、”free hypothesis”(非結合形薬物だけが膜透過・トランスポーターによる輸送を受ける)が適用できない場合の考え方等PBPK(physiologically-based pharmacokinetic)モデル解析上、新たに考慮すべき要因を取り扱う。また、CYP・トランスポーターの誘導現象の包括的な数理モデル化の戦略、in vitro実験に基づき細胞内での薬物の振り分け・律速段階(値)を評価する方法論など決定が困難なPBPKモデルパラメータの取り扱いも議論する。さらには、最近の組織工学の進展に伴い、ヒト組織・細胞由来もしくはヒト由来細胞株を用いた創薬評価系の構築が急ピッチに進められているが、現状で何ができて何ができないかについて、今一度整理しておきたいと考えている。
日時: 2019年6月27日(木)10:20‐18:00 場所: 東京大学 山上会館 大会議室(東京都文京区本郷7-3-1) 世話人: 杉山 雄一(理化学研究所杉山特別研究室)、前田 和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
プログラム
- 10:20~10:30
「はじめに」
前田 和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
- 10:30~11:20
“When does target binding impact the pharmacokinetics of small-molecule drugs?: Overview and revisiting the case of warfarin”
Wooin Lee(College of Pharmacy, Seoul National University)
Dr. Wooin Leeが怪我をされて来日できなかったたため、この部分は杉山雄一先生が講演されました。- 11:20~12:00
「Target bindingを考慮したbosentanの非線形薬物動態解析」
小山 智志(理化学研究所杉山特別研究室)
- 12:00~12:50
「サンドイッチ培養肝細胞を用いた胆汁排泄過程の定量的解析」
杉山 雄一(理化学研究所杉山特別研究室)
<12:50~13:40 昼食休憩>- 13:40~14:20
「血漿中、高タンパク結合性薬物の肝取り込み過程は、Free Drug Theoryは成立しない」
宮内 正二(東邦大学薬学部)
- 14:20~15:00
「新しい細胞・組織ソースを利用した薬物動態解析の最前線と今後の課題」
前田 和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
- 15:00~15:40
「iPS細胞からの肝細胞と腸管細胞の作成とその利用」
粂 昭苑(東京工業大学生命理工学院)
<15:40~16:00 休憩>- 16:00~16:40
「リファンピシンのOATP1B誘導作用に関する定量的解析」
浅海 竜太(小野薬品工業株式会社)
- 16:40~17:20
「Double transfected cellを用いたextended clearance conceptの実験的実証」
伊藤 澄人(株式会社ジェノメンブレン)
- 17:20~18:00
総合討論
懇親会 (場所:東京大学薬学部図書館1階ロビー 参加費:\3,000)
講演会参加費参加申込み
(種別) (料金) 法人会員 無料 一般 個人会員 無料 非会員(一般) \10,000 学生 学生会員 無料 非会員(学生) \1,000 終了しましたお問い合わせ◆情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局
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