開催趣旨:
近年、ペプチド、核酸に代表される中分子創薬の研究が盛んに行われ、実際に数多くの中分子薬が臨床試験に進み、さらには上市に至っています。中分子医薬品は低分子医薬品と高分子医薬品の中間に位置し、細胞内分子に作用できる、標的特異性が高い、経口投与が可能、などといったそれぞれの利点をあわせもっていることから、従来の医薬品ではアプローチできなかった標的への作用や、高い薬効の発現が期待されます。一方で、低分子や抗体と比較すると中分子に関する論文報告や研究データはまだ少なく、計算科学や情報科学を駆使した、効率的で革新的な研究の推進が必要とされています。
本講演会では、中分子医薬に関する研究やプラットフォーム開発を精力的に進めていらっしゃる先生方をお招きし、最先端の研究成果や将来への展望についてご講演いただきます。これからの創薬モダリティの一角を担うことが期待される中分子について、皆様の理解が深まり、さらに研究が発展することを期待しています。
日時: 2024年2月26日(月)13:00-16:40 場所: オンライン配信(Zoomウェビナー使用) 世話人: 天野 靖士(アステラス製薬株式会社)、佐藤 秀行(株式会社Preferred Networks)、 門 祐示(Meiji Seika ファルマ株式会社)、中村 信二(武田薬品工業株式会社)、 増田 友秀(東レ株式会社)、谷村 直樹(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社) 連絡先: お問い合わせは、下記メールまたはTELにお願いいたします。
TEL: 03-6434-0458 (情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局)
プログラム
- 13:00 - 13:05 開会挨拶
- 13:05 - 13:55
「核酸医薬研究を加速する情報技術の開発と応用」
浜田 道昭(早稲田大学)
本講演では核酸医薬研究を加速する情報技術の開発と応用について紹介する。特に、次世代の創薬モダリティとして期待されているRNAアプタマー創薬を、人工知能技術を用いて加速する「AIアプタマー創薬」の基盤技術とその創薬応用について紹介する予定である。
参考文献:
[1] Nucleic Acids Res. 2020 Aug 20;48(14):e82.
[2] Nat Comput Sci. 2022 Jun;2(6):378-386.
[3] Nat Methods. 2024 Jan 18. doi: 10.1038/s41592-023-02148-8.
- 13:55 - 14:45
「中分子創薬を革新する分子シミュレーション手法の開発」
原田 隆平 (筑波大学)
分子動力学計算(MD)は、生体分子のダイナミクスを高い時空間分解能で観察できる。しかしながら、通常のMDが扱える時空間スケールは計算コストおよび計算技術の制約から限界が存在し、マイクロ秒程度である。このため、生体機能が発現する長時間スケールまでMDを継続することが難しい。MDに基づくインシリコ創薬でもこの問題は無視できない。事実、薬剤(化合物)は細胞膜を透過して標的分子と相互作用し、機能を阻害するため、化合物の膜透過プロセスや標的分子との結合プロセスを抽出して解析する必要があるが、これらの遷移プロセスは通常のMDが到達できる時間スケールを超えた領域(ミリ秒〜秒)で観測されるレアイベントである。ゆえに、レアイベントを効率的に抽出する分子シミュレーション手法の開発が必要である。本講演では、発表者らが開発を進めているレアイベントサンプリング法を拡張し、化合物の結合プロセスや膜透過プロセスの抽出を実現したアプリケーションについて紹介すると共に、中分子創薬への研究展開も議論したい。
<14:45 - 14:55 休憩>
- 14:55 - 15:45
「アンチセンス核酸の安全性向上に向けた化学修飾設計」
正木 慶昭(東京工業大学)
核酸医薬品は、ワトソン・クリック塩基対形成を利用することでRNAを標的にできるモダリティである。核酸医薬品の開発において重要な課題の一つに安全性がある。本講演では、核酸医薬品の一つであるRNase H依存型のアンチセンス核酸に焦点をあて、in silicoアプローチを利用した安全性向上に関連する研究を紹介する。
- 15:45 - 16:35
「次世代ペプチド創薬プラットフォーム:Biodrug Design Accelerator
~プロセス可視化とデータの一元管理によるデータ駆動型創薬の推進~」
島田 裕三、北島 正人(富士通株式会社)
ペプチド創薬をサポートするプラットフォームとして、非天然アミノ酸を有するペプチドライブラリ―の管理・デザイン創出から研究プロセスの全体の可視化やSAR解析など、創薬プロジェクト全体を管理し推進する統合型プラットフォームが必要とされている。「Biodrug Design Accelerator」はこれら課題サポートするプラットフォームとして、NGS解析データから得られるヒットペプチドの取得からリード最適化のDMTAサイクルを高速化することを目的として開発を継続している。本発表では、このプラットフォームの特徴と利点やNGS-AI解析の活用例を紹介する。
- 16:35 - 16:40 閉会挨拶
講演会参加費参加申込み
(種別) (料金) 法人会員 無料 一般 個人会員A 無料 個人会員B ¥3,000 非会員(一般) ¥10,000 学生 学生会員 無料 非会員(学生) ¥1,000
キャンセルの場合、2024年2月19日(月)までにご連絡いただければ手数料を差し引いて返金します。
それ以降は講演会参加費のキャンセル返金はできません。
締切日(開催日一週間前)にコンビニ決済を選択すると5日間の支払猶予期間があるため、最長開催2日前まで支払いを延期できます。
ただし、支払いが完了しないと正式な参加申し込みとはならないため定員オーバーで参加できない可能性があることをご容赦願います。
参加費が無料の方も、キャンセルされる場合は、なるべく早く にご連絡ください。こちらでシステムから取り消します。
終了いたしましたお問い合わせ
◆情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局
TEL:03-6435-0458