***第463回CBI学会講演会のお知らせ***

 「分子シミュレーションの最新動向 ~構造・ダイナミクス解析から機能解析まで~」

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開催趣旨
生体分子の立体構造を解明し、その機能を理解することは、生物学の進展に寄与するだけでなく、創薬研究を進める上でも非常に重要です。近年、AlphaFoldをはじめとした、機械学習、深層学習に基づく立体構造予測により、生体分子の静的な立体構造への理解は急速に深まりました。しかしながら、動的な構造や分子集合系など、生体分子が持つ複雑で緻密なメカニズムの解明には至っていません。本講演会では、分子シミュレーションなどの理論的、計算的手法を用いて、生体分子の構造やダイナミクス、機能解明に取り組む先生方をお招きし、最新の研究成果や今後の展望についてご講演いただきます。
日時 2025年3月14日(金)13:00-16:40
場所 オンライン配信(Zoomウェビナー使用)
世話人 小久保 裕功(中外製薬株式会社)、増田 友秀(東レ株式会社)、谷村 直樹( みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)、天野 靖士(アステラス製薬株式会社)
連絡先: お問い合わせは、下記メールまたはTELにお願いいたします。

TEL: 03-6435-0458 (情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局)

プログラム  

  1. 13:00 - 13:05 世話人挨拶

  2. 13:05 - 13:55
    「機械学習による酵素の機能予測と分子シミュレーションによる機能メカニズムの解析」
    寺田 透(東京大学)

    酵素は、環境負荷の少ない物質生産や、新規骨格を持つ薬剤候補化合物の生成への応用が期待されている。タンパク質のアミノ酸配列は、公共データベースに2億以上登録されているが、実験によりその機能が明らかになっているタンパク質は57万程度に過ぎない。したがって、有用な反応を触媒する酵素が、機能未知のまま、アミノ酸配列データベースに埋もれていると考えられる。私たちは、酵素の基質特異性・反応特異性は、基質ポケットにおけるアミノ酸の空間的な配置によって決まるという事実に着目し、AlphaFoldによる予測構造を利用して、与えられた2つのタンパク質が同一の機能を持つかどうかを、機械学習に基づいて予測する方法を開発した。FUJISANと名付けたこの方法は、従来の配列類似度に基づく方法や、深層学習に基づく最新の機能予測手法よりも高い予測性能を示した。本講演では、これに加え、分子シミュレーションを用いて酵素の機能メカニズム解析を行った研究を紹介する。
    【参考資料】Suguru Fujita, Tohru Terada, “Enhanced prediction of protein functional identity through the integration of sequence and structural features” Comput. Struct. Biotechnol. J., 23, 4124–4130 (2024) DOI: 10.1016/j.csbj.2024.11.028.

  3. 13:55 - 14:45
    「タンパク質分子機能の理論的理解と設計」
    林 重彦(京都大学)

    生命活動を支えるタンパク質分子は、物質や情報の変換・制御などの顕著な分子機能を発揮する。そのタンパク質機能は、安定状態の分子構造のみならず、機能発現ダイナミクスの中に瞬間的に現れ共役を実現する機能活性化状態の構造が決定している。従って、その分子機能を理解し、さらにそれを改変し有用な新規タンパク質機能を開発するためには、その機能活性化状態を明らかにする必要がある。 近年の計算機能力の飛躍的な向上に伴い、機能活性化状態を物理的化学的に解明する分子シミュレーションが発展し、実験的観測に先立つ理論予測・設計の成功が得られている。本講演では、我々が開発したタンパク質分子機能解析のための新規な分子シミュレーション手法を概説すると共に、それを用いた膜輸送体などにおける機能活性化状態の予測・解明や、実験探索を凌駕する新規な光特性を有する変異体の理論予測について解説し、今後の新規タンパク質分子機能開発に関して議論する。

  4. <14:45 - 14:55 休憩>

  5. 14:55 - 15:45
    「基質結合が誘発するSrcキナーゼのアロステリックなコンフォメーション変化」
    鄭 誠虎(熊本大学)

    タンパク質キナーゼの活性は、活性状態と非活性状態のコンフォメーション変化によって制御される。しかし、異なるシグナルがどのようにタンパク質キナーゼのコンフォメーション変化を誘導するのかについては、十分に解明されていない。本研究では、拡張アンサンブル法を用いてSrcキナーゼに対する基質ペプチドの結合モードを予測し、分子動力学シミュレーションを実施して基質結合時のコンフォメーション変化を詳細に解析した。その結果、基質ペプチドの結合が活性状態から非活性状態への遷移を顕著に促進することが明らかとなった。この非活性状態では、Cヘリックスが外側へ移動し、regulatory spineの破壊やATP結合部位の構造変化が確認された。本研究の結果は、基質ペプチドとATPのチロシンキナーゼへの結合における負の協同性を示す最近の実験結果と一致しており、キナーゼ活性の調節機構の理解を深める重要な知見を提供するものである。

  6. 15:45 - 16:35
    「分子シミュレーションとAlphaFoldの統合によるトランスポータータンパク質の構造変化ダイナミクス解明 」
    岡崎 圭一(分子科学研究所)

    トランスポータータンパク質は、細胞膜に存在して基質を細胞内外に輸送するタンパク質であるが、基質を輸送する際に構造変化をして、基質結合サイトを細胞膜内外に交互に露出させることで基質を輸送している。よって、内開き構造、外開き構造、さらにはそれらの中間体で基質結合サイトがどちら側からもアクセスできない閉塞構造があり得る。実験的にこれら全ての構造状態を原子レベルで解くのは困難であるし、構造状態間遷移のダイナミクスもよく分かっていない。本講演では、分子動力学(MD)シミュレーションと構造予測AIであるAlphaFold2を組み合わせることで、未知構造状態の予測や構造遷移ダイナミクスを解明するアプローチについてお話ししたい。

  7. 16:35 - 16:40 世話人挨拶


講演会参加費
(種別) (料金)
法人会員 無料
一般 個人会員A 無料
個人会員B ¥3,000
非会員(一般) ¥10,000
学生 学生会員 無料
非会員(学生) ¥1,000

キャンセルの場合、2025年3月7日(金)までにご連絡いただければ手数料を差し引いて返金します。
それ以降は講演会参加費のキャンセル返金はできません。
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ただし、支払いが完了しないと正式な参加申し込みとはならないため定員オーバーで参加できない可能性があることをご容赦願います。
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◆情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局
  
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