開催趣旨:
シングルセル解析の登場により,一細胞レベルでの研究が盛んに行われている。一方で,多種多様な細胞で構成される組織を理解し,疾患メカニズムの解明から創薬へと展開するためには,組織内の微小環境を高い空間分解能で観察する必要がある。近年,空間トランスクリプトームや生体イメージング技術の進展により,微小環境を分子・細胞レベルで“観る”ことが可能になってきた。また,微小環境の制御による疾患治療やDDSへの応用研究も進展している。 本公演では,“生体内微小環境をどう観るか“をテーマに,生体イメージングや空間トランスクリプトーム技術を活用した疾患研究と創薬への応用に焦点を当てる。
日時: 2026年1月23日(金)13:00 - 17:30 場所: 会場:大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス A12棟ホール(大阪府堺市中区学園町1-1)
【配信あり】
世話人: 木下誉富(大阪公立大学)、六嶋正知(塩野義製薬)、植松直也(大塚製薬) 主催: CBI学会関西部会 共催: 大阪公立大学創薬科学研究所 連絡先: お問い合わせは、下記メールにお願いいたします。
情報計算化学生物学会(CBI学会)関西部会事務局
プログラム
- 13:00-13:05 世話人挨拶
木下誉富(大阪公立大学)
- 13:05-13:35
「創薬イノベーションの新時代―次世代創薬人材を育む創薬科学研究科の挑戦」
乾 隆(大阪公立大学)
パンデミック、高齢化、温暖化の進行によりヘルスケア課題は複雑化し、新規創薬モダリティの創出と創薬人材の育成が急務です。大阪公立大学は、異分野融合による独創的アプローチと創薬科学副専攻を基盤に、大学院創薬科学研究科を設立し、産学官連携と実践的教育でアカデミア発創薬の新モデルを構築します。本講演では、その具体的な取り組みと今後の展望を紹介します。
- 13:35-14:25
「がん治療増感を目的とするがん微小環境の制御法の開発に関する研究」
長崎 健(大阪公立大学)
がん増悪にはがん微小環境(TME)が影響している。TME中のdectin-1を発現する骨髄由来細胞は、がん免疫抑制や血管新生を促進する。dectin-1のリガンドであるβ-1,3-グルカンをキャリアとし、難水溶性低分子TME制御剤を可溶化した複合体からなるナノゲルは、腫瘍増殖をサポートする細胞の活性を抑制する一方で、殺腫瘍作用を持つ細胞を活性化し、種々のがん治療効果を増強することが期待される。
- 14:30-15:20
「エクソソームの細胞内移行可視化と機能性ペプチド修飾型DDS応用」
中瀬 生彦(大阪公立大学)
我々は現在、単離した細胞外小胞(extracellular vesicles, EVs)に対する簡便な化学手法を用いた機能性ペプチドの膜修飾技術の開発を進めている。本講演では、研究開発に取り組んできた機能化EVsの基盤技術(受容体標的、細胞内導入・膜融合促進等)について紹介し、EVsの細胞内移行可視化や、細胞機能制御・疾患治療への技術応用に関して議論する。
- 15:20-15:35 (休憩)
- 15:35- 16:25
「生体イメージングと空間オミクスを駆使した病理解析」
宮本 佑(大阪大学)
本発表者はこれまで、生体組織の特殊な構造(ジオグラフィ)に焦点を当て、生体イメージングおよび空間的トランスクリプトームを駆使して組織内の位置情報と各種免疫細胞の機能をリンクさせて解析を行ってきた。本発表では、肝臓内では免疫細胞が場所ごとにどのように働いており、臓器・生体の健康を維持しているのかについて最近の研究成果を紹介する。
- 16:30-17:20
「発達期ミクログリアの脳定着プロセスと性質多様性」
服部 祐季(名古屋大学)
脳内免疫細胞であるミクログリアは、発生期に異なる経路で脳に侵入・定着し、その後、多様性を獲得することが示唆されている。本発表では、マウス胎仔脳の生体イメージングや組織微細構造解析により明らかになったミクログリアの大脳原基への流入メカニズムに加え、ミクログリアの定着経路と周辺環境による性質多様性の制御の可能性について紹介する。。
- 17:20-17:25 世話人挨拶
植松直也(大塚製薬)
- 17:30 - 交流会(情報交換会)
講演会参加費無料参加申込み下記Google Formよりお申込みください。(締切2026年1月20日)お問い合わせ
>>> https://forms.gle/hqfeTuo1274xyXtB9
※2026年1月20日まで受け付ける予定ですが、定員に達した場合は予告なく受付を締め切ります。
◆情報計算化学生物学会(CBI学会)関西部会事務局