2002年大会開催趣旨


インターネットに象徴される情報技術(IT)革命とヒトのゲノム解析計画に象徴される生物学革命は、相乗して関連する科学技術の様相を大きく変えている。本大会は昨年の主要テーマとして、ITとゲノム革命の医薬品研究へのインパクトを取り上げたが、本年はそれに続く課題として、診断と治療へのインパクトを取り上げた。すでにチップやマイクロアレイ技術は実際の診断に使われようとしている。また、SNPなど個人の遺伝的な微小変異データの蓄積は、その違いを考慮した個別の治療計画(パーソナライズド・メディスン)への期待を高めている。さらに病原微生物のゲノム解析に基づくより的確な抗菌剤の開
発、発生学の知見を生かした臓器再生治療、より適切な薬物投与法の開発などへの取り組みも活発である。こうした新しい潮流は、一方で患者ごとに管理すべき情報の爆発をもたらし、また情報の守秘義務への特別な配慮を喚起してい
る。それは研究者にとっても、医療サービスの提供者にとっても、その受け手にとっても、またそれ以外の関係者にとっても未知なる世界である。 この大会はこの未知なる世界のイメージを探り、研究開発やサービスを支える情報計算基盤を明らかにすることをめざしている。本大会がこれまでの大会の参加者だけでなく、医療分野の研究者や関係者、さらに同時に開催されるゲノムテクノロジーフォーラムの参加者にとっても魅力のあるものとなることを願っている。