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開催趣旨
  医薬品の形は大きく変化してきています。以前は低分子化合物が医薬品の形として主流でしたが、近年は身体の構成成分である核酸もしくは蛋白質が新しい薬の形として社会に受け入れられています。最も注目されるものとして、セントラルドグマを構成するmRNAを用いたワクチンが開発されました。新型コロナウイルス(SARS -CoV-2)に対して効果を上げて、新興感染症に対する福音となっています。また、異物に対する生体防御として働く抗体が医薬品の形を大きく変革させ、抗体医薬品として医薬品の主要な形の一つとなり市場をリードしています。特に抗がん薬、抗自己免疫疾患薬にこの傾向があります。わが国で発明されたアクテムラ、オプジーボなどもこの抗体医薬品です。また最近では、デジタルアプリ治療というITを駆使した治療方法も開発されています。これは禁煙だけでなく、生活習慣病改善、脳神経系の治療のためにスマートフォン、タブレットなどデジタル端末を用いての治療方法も開発されつつあります。この開発には、ビッグデータと人工知能(AI: Artificial Intelligence)活用が欠かせません。
しかしながら、現在の新しい医薬品の形である核酸医薬品、抗体医薬品やデジタル治療法の基本概念の多くは、日本で発明されたものではありません。そのために現在医薬品の貿易収支は、大きな赤字になっています。

 今後、病気で苦しむ患者さんを救うために、世界をリードできる医薬品のさらなる新しい概念が求められています。

 2022年本大会では、情報科学、計算化学、創薬化学、生物学、医療などの分野で活躍されている研究者、専門家の先生をお招きします。ウィズ/ポストコロナの現状も踏まえて、データ共有、AI開発などの活用によって研究されている新しい医薬品の概念を紹介していただき、患者さんを救うために医療を変える新しい医薬品の概念について議論を深めます。最新状況や今後のニーズを共有し、ポストコロナ時代の新しい医療の概念を創造する機会になれば幸いです。
 製薬企業、IT企業、アカデミアで新しい医療のためにビッグデータ、AIまたそれを活用して次世代の医薬品の概念創造を推進している方々、あるいは興味をお持ちの方の積極的な参加をお待ちしております。

CBI学会2022年大会 大会長 坂田 恒昭(大阪大学共創機構)
  実行委員長 福澤 薫(大阪大学大学院薬学研究科)