CBI学会とは
更新2019.3.27
CBI学会は、化学(Chemistry)、生物学(Biology)、情報計算学(Informatics)という3つの学問分野に関わる先端的な研究開発の基盤構築をめざす非営利の学術団体である。1981年に設立されてより、本会は「計算機と化学・生物学会(英名、Chem-Bio Informatics Association)」、通称CBI研究会の名称の下に、産官学の研究者の協力をえて、計算化学やバイオインフォマティクスなど新しい方法論を医薬品の開発研究や生物医学の研究者に紹介するセミナーやワークショップを開催するとともに、専門を異にする産学官の研究者の交流を促進し、研究者のコミュニティ形成に努力してきた。
こうした研究講演会はすでに、360回を越え、延べ参加者は1万人を越えている。その後、2000年より、会の名称を情報計算化学生物学会(Chem-Bio Informatics Society)、通称CBI学会と改め、研究発表のための「年次大会」を開催するとともに、論文発表のための英文の季刊雑誌 「CBI Journal」の刊行も開始した。CBI学会は2002年4月1日に、特許法第30条第1項の規定に基づく学術団体として認定されており、また2002年9月13日には、第19期日本学術会議登録学術研究団体として認定されている。2012年には、横浜市より特定非営利活動法人として認可された。2016年には、所轄庁の変更(所在地変更)に伴い東京都より特定非営利活動法人の認証が下りた。CBI学会が関心をもっている化学、生物学、情報計算学に関係する研究は、薬学、薬理学、毒性学、医学、健康科学など巾が広い学問分野の基礎になっている。また産業との関係では、現在話題のバイオ、IT、ナノテクノロジーにまたがっている。CBI学会では、研究発表の便宜のために「関心領域」を5つの分野に区分しているが、新しい研究領域は現在でも生まれつつあり、状況は極めて流動的である。CBI学会は、こうした環境に柔軟に適応しつつ、常に新しい道を切り開いていくことを基本理念としている。
会の設立の目的は、設立趣意書に述べられている。正式な趣意書は、1981年の発起人会に提出したものと、会の名称を正式なものに改めた1985年に公にしたものと2つある。この趣旨、すなわち会の目的は今でも全く変わっていない。
1981年3月の設立趣意書
今日、化学と生物工業の急速な成長に伴い、化学物質と合成微生物が環境、生物及び人間生活に及ぼす影響は増大の一途を辿っており、さらにそれらに関する情報と知識もまた爆発的に拡大している。しかも、人類はまだこのような歴史的状況の序章に位置しているに過ぎない。而して、人間生活に有用な新しい化学物質や微生物を効率的に探索し生産する技術、及びそれらの生産物が人類に真の恩恵をもたらすように、安全かつ効率的に利用するための技術に関する研究開発は焦眉の課題となっている。
このような研究開発は、分子から生物圏に到る各レベルにおける化学物質と生体系との相互作用に関する経験的・科学的知識を基盤として展開されなければならない。けれども、化学と生物学との、この境界領域は、伝統的な化学と生物学だけではなく、分子生物学、生化学、薬理学、毒性学、栄養学、医学、農学、環境科学等、幅広い学問分野に散在しており、統一的方法論はもとより互いの知識利用の便宜をも欠いているのが現状である。
我々は上記の課題に効果的に接近する手段としては、これも今世紀後半において発達の著しい電子計算機に代表される情報技術の成果を駆使する以外にないと考える。よってここに、上記の化学と生物学の境界領域への計算機と情報学の応用に関する研究会を発足させ、広く関心のある学術同好の士間の知識の交換と研究の交流を計り、もって科学技術の社会への有効利用に貢献せんとするものである。
1985年7月の設立趣意書
今日、研究開発におけるコンピュータと情報学の役割は、ますます重要さを増している。とくに、化学と生物学の境界領域においては、大規模な理論計算によるシミュレーション、コンピュータグラフィックス、パターン認識、知識ベースシステム(人工知能)、計画技法など、高次なコンピュータ技法を駆使した「総合的研究開発支援システム」への関心が高まっている。このような新しい手法は、ドラッグ・デザイン、蛋白質工学、新素材開発などの開発研究だけでなく、生命科学すなわち分子生物学、生化学、薬理学、医学、農学、環境科学などの基礎研究においても、威力を発揮しつつある。
さらに、分子生物学による遺伝情報の解明や脳研究が進むにつれ、コンピュータの理論的基盤である情報学と生命科学との交流からは生命情報学とも呼ぶべき、新しい科学が生まれてくることが予想される。また、エレクトロニクス、バイオ素子、バイオコンピュータなど、超先端技術の研究開発においても、研究開発支援システムの重要性が指摘されている。
我々は、この分野の研究の重要性に着目し、4年前より設立準備事務局の名の下に研究会活動を続けてきた。幸い、幅広い学術同好の士の協力を得ることができ、その活動の環は広がりつつある。よってここに名称を改め正式に会として発足する次第である。
1981年3月の設立趣意書
今日、化学と生物工業の急速な成長に伴い、化学物質と合成微生物が環境、生物及び人間生活に及ぼす影響は増大の一途を辿っており、さらにそれらに関する情報と知識もまた爆発的に拡大している。しかも、人類はまだこのような歴史的状況の序章に位置しているに過ぎない。而して、人間生活に有用な新しい化学物質や微生物を効率的に探索し生産する技術、及びそれらの生産物が人類に真の恩恵をもたらすように、安全かつ効率的に利用するための技術に関する研究開発は焦眉の課題となっている。
このような研究開発は、分子から生物圏に到る各レベルにおける化学物質と生体系との相互作用に関する経験的・科学的知識を基盤として展開されなければならない。けれども、化学と生物学との、この境界領域は、伝統的な化学と生物学だけではなく、分子生物学、生化学、薬理学、毒性学、栄養学、医学、農学、環境科学等、幅広い学問分野に散在しており、統一的方法論はもとより互いの知識利用の便宜をも欠いているのが現状である。
我々は上記の課題に効果的に接近する手段としては、これも今世紀後半において発達の著しい電子計算機に代表される情報技術の成果を駆使する以外にないと考える。よってここに、上記の化学と生物学の境界領域への計算機と情報学の応用に関する研究会を発足させ、広く関心のある学術同好の士間の知識の交換と研究の交流を計り、もって科学技術の社会への有効利用に貢献せんとするものである。
1985年7月の設立趣意書
今日、研究開発におけるコンピュータと情報学の役割は、ますます重要さを増している。とくに、化学と生物学の境界領域においては、大規模な理論計算によるシミュレーション、コンピュータグラフィックス、パターン認識、知識ベースシステム(人工知能)、計画技法など、高次なコンピュータ技法を駆使した「総合的研究開発支援システム」への関心が高まっている。このような新しい手法は、ドラッグ・デザイン、蛋白質工学、新素材開発などの開発研究だけでなく、生命科学すなわち分子生物学、生化学、薬理学、医学、農学、環境科学などの基礎研究においても、威力を発揮しつつある。
さらに、分子生物学による遺伝情報の解明や脳研究が進むにつれ、コンピュータの理論的基盤である情報学と生命科学との交流からは生命情報学とも呼ぶべき、新しい科学が生まれてくることが予想される。また、エレクトロニクス、バイオ素子、バイオコンピュータなど、超先端技術の研究開発においても、研究開発支援システムの重要性が指摘されている。
我々は、この分野の研究の重要性に着目し、4年前より設立準備事務局の名の下に研究会活動を続けてきた。幸い、幅広い学術同好の士の協力を得ることができ、その活動の環は広がりつつある。よってここに名称を改め正式に会として発足する次第である。
1979-80年 | 財団法人東京都臨床医学総合研究所医療工学研究室に於いて、神沼二眞、鈴木勇らによって化学生物学分野の統合システムの研究が開始され、栗原章浩(株)フジミックおよびCISプロジェクトの協力の下にCIS(Chemical Information System)の部分的な移植実験に成功する。 | |
1981年 | 3月 | 上記の活動を基に、「計算機と化学・生物学の会」の設立準備会を開催する。 |
4月 | 「計算機と化学・生物学の会設立準備事務局」を開設し、その下にフォーラムとワークショップを置く。事務局を東京都臨床研医療工学研究室に置き。代表として神沼二眞(東京 都臨床研)を選出する。 | |
10月 | 第1回研究講演会を開催 | |
12月 | 第1回研究連絡会議を持つ。 | |
第1期2ヶ年計画の実施を決定する。 | ||
1982年 | 化学生物学分野の研究支援システムとその利用に関する研究講演会を積極的に開催する。 | |
1983年 | 7月 | 第2期2ヶ年計画の実施を決定する。 |
1983-84年 | 東京都臨床研においてCHEMLAB、TRIBBLEを始めとする分子のモデリングとグラフィックシステムの移植・評価実験を行う。 | |
1985年 | 7月 | 「計算機と化学・生物学の会設立準備事務局」を「計算機と化学・生物学の会」と名称変更し、併せて運営組織を改組する。神沼二眞(東京都臨床研)が、代表となる。 |
1986年 | 4月 | 「計算機と化学・生物学の会」事務局をアドイン研究所内(東京都渋谷区神南)に移す。 |
1987年 | 4月 | 「計算機と化学・生物学の会」事務局を日本科学技術研修所内(東京都渋谷区千駄ヶ谷)に移す。 |
1988年 | 3月 | 大澤映二(北海道大学)が、代表となる。 |
1989年 | 3月 | 大澤映二(北海道大学、現豊橋技術科学大学)が、代表に再任される。 |
1990年 | 6月 | 「計算機と化学・生物学の会」事務局を(社)日本工業技術振興協会(東京都港区赤坂)に移す。 |
1991年 | 8月 | 「計算機と化学・生物学の会」事務局を愛知産業ビル内(東京都品川区北品川)国民工業振興会に移す。 |
1992年 | 3月 | 細矢治夫(お茶の水女子大学)が、代表となる。 |
1994年 | 4月 | 独自のサーバ機を導入し、インターネットへの接続環境を構築するとともにネットワーク団体として登録する。 |
1997年 | 「計算機と化学・生物学の会」事務局をイイダビル(東京都世田谷区用賀)に移す。 | |
1999年 | 10月 | 平山令明(東海大学)が、代表となる。 |
2000年 | 4月 | 「計算機と化学・生物学の会」を「情報計算化学生物学会」と名称変更する。 |
2001年 | 4月 | 多田幸雄(大鵬薬品)が学会長となる。 |
2003年 | 4月 | 学会長に多田幸雄(大鵬薬品)が再任される。 |
2005年 | 4月 | 学会長に多田幸雄(大鵬薬品)が再任される。 |
2007年 | 4月 | 河合隆利(エーザイ)が学会長となる。 |
2009年 | 4月 | 学会長に河合隆利(エーザイ)が再任される。 |
2011年 | 4月 | 田中博(東京医科歯科大学)が学会長となる。 |
6月 | 事務局を横浜市に移す。 | |
2012年 | 4月 | 横浜市より、特定非営利活動法人設立の認証が下り、小長谷明彦(東京工業大学)が理事長となる。 |
2013年 | 4月 | 学会長に田中博(東京医科歯科大学)が再任される。 |
2015年 | 4月 | 学会長に田中博(東北メディカルメガバンク機構)が再任される。 |
2016年 | 6月 | 事務局を東京都新宿区に移す。所轄庁の変更(所在地変更)に伴い東京都より特定非営利活動法人の認証が下りた。 |
2017年 | 4月 | 片倉晋一(第一三共RDノバーレ株式会社、慶應義塾大学)が学会長となる。 |
2019年 | 1月 | 事務局を東京都港区に移す。 |
4月 | 片倉晋一(慶應義塾大学)が学会長に再任される。 | |
4月 | 定款変更申請(事業の追加)に関して、東京都から4月1日付け認証書が届く。情報計算化学生物学に関する調査・研究事業を追加し、CBI研究機構を設立して事業を始める。 | |
2020年 | 10月 | 評議員会のメール審議を経て、現会長の任期を一年間延期することが決まった。 |
2022年 | 4月 | 相良武(大鵬薬品)が学会長となる。 |
8月 | 定款変更申請(役員の選任)に関して、東京都から8月19日付け認証書が届く。 | |
2024年 | 4月 | 相良武(大鵬薬品)が学会長に再任される。 |